味の素が描くマーケティング変革。目指すのはインフルエンサーと共創していく未来

2023.05.26
2023.05.26

味の素が描くマーケティング変革。目指すのはインフルエンサーと共創していく未来

味の素株式会社 

コミュニケーションデザイン部 企画グループ長 木本 雄一朗 様

創業114年を迎える味の素株式会社が変革の時期を迎えている。味の素の中でも歴史の深い広告部がコミュニケーションデザイン部へと進化した。その意図はどこにあるのか?

今回の取り組みでは、味の素にとっての新たなマーケティング活動の一つとして、BitStarが支援する形でインフルエンサー勉強会とインフルエンサー向け新商品発表会を実施した。

インフルエンサーに関連する活動を実施した背景から、今後の取り組みへの展望までご担当者様にお話をうかがった。

味の素株式会社 

マーケティングデザインセンター コミュニケーションデザイン部 企画グループ 

グループ長 木本 雄一朗様

株式会社BitStar 

マーケティングソリューション本部 

執行役員 玉置 智啓
第4営業局 雨谷 美菜子

(以下敬称略)

味の素が描く新たなマーケティングの未来とは

玉置) 木本様の所属するコミュニケーションデザイン部について、取り組まれていることを簡単にお聞かせください。

木本) 当社のパーパスであるアミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-Beingに貢献するなかで特に食を中心としたコミュニケーション活動をいかに良くしていくかに取り組んでいます。

コミュニケーションデザイン部は、元々は広告部でした。弊社では広告部はとても歴史がある部署で、1909(明治42)年に商品の「味の素」を発売したときには新聞広告を打ち、街中ではチンドン屋で宣伝広報を打ったという記録が残っています。誰も知らない新しい商品でしたから、かなり広告活動に力を入れていました。

ただ、インターネットが当たり前になり社会が変わっていく中で、従来のプッシュ型の広告ではうまくいかなくなるだろうと考えており、広告に留まらずコミュニケーションのあり方のテストモデルを推進していく方針を進めています。僕らはコミュニケーションデザイン部として、コミュニケーション活動をすべて統括するということになり、他の事業部にあったオウンドメディア運用チームと、パッケージ、コンテンツ開発・制作チーム、メディアプランニング・バイイングチームを一緒にした組織になりました。

今一番目指していることは、味の素のファンであるお客様との関与や参加を促進するための活動や、SNSを活用したインタラクティブなコミュニケーションやマーケティングの強化です。

玉置) まさにファンベース的な考え方で、お客様と共創していくマーケティングの未来を作りたいということですね。

木本) はい、その通りです。

玉置) その一環として今回のインフルエンサー勉強会を事業部の方々向けに実施されたと思うのですが、なぜそのような活動をされましたか?

木本) SNSで活躍されてる方の情報発信力はすごくて、一つの投稿が非常にたくさんの人に見られて、見た人が行動するという認識は持っていますし、他の事業部でもインフルエンサーさんを起用した広告企画が盛んになってきています。

しかし、インフルエンサーさんを起用するのは新しい動きであり、かつ、インフルエンサーさんと僕らの間に広告代理店さんが入っていることもあって、彼ら彼女らが何を大事にしているのかを理解できていない。そこで、コミュニケーションデザイン部と商品事業部など、SNSに関わる可能性があるメンバーに勉強会を実施したいと考えたのが大きな理由です。

玉置) インフルエンサー向け勉強会に参加した社員の皆さんの反応はいかがでしたか。

木本) とてもポジティブな評価であったとともに、インフルエンサーさんへの認識が改まったと思います。実は、我々としては元々インフルエンサーさんの取り組みもプッシュ型広告の延長と考えていたんです。テレビで表現する、新聞で表現する、YouTubeで表現する。そこにインフルエンサーさんが追加になっただけと思っていて、出口が違うだけでインプットは一緒というイメージがありました。

しかし、直接インフルエンサーさんと話す中で、どれだけ彼らがフォロワーを大事にしているか、そして彼らが発信する情報がフォロワーにとっての価値になっているかどうかということを重視していることがわかりました。大事なことを勉強させてもらったと思います。

企業側からインフルエンサーさんにインプットする情報が、とりあえず「これ伝えてよ」っていう一方通行ではダメなんだなと。最終的にはフォロワーさんに価値になるような伝達をしないと、効果的な施策にはならないことがわかりました。

玉置) 私たちもインフルエンサーと仕事をする上で、インタラクティブであることは必須条件だと思っています。クライアントさんが「言ったからやってくれるよね」という一方通行のコミュニケーションだとどうしてもうまくいかないことが多いです。今回の取り組みを通じて、木本さんや御社の皆様からこういった感想をいただけて、私としてはとても嬉しいです。

インフルエンサー勉強会を実施させていただいた後に、インフルエンサー向け新商品発表会を実施してみて率直な効果としてはいかがでしたか。

木本) 計算上、広告換算価値として投資以上の効果を確認できています。今後、より磨いていきたいですね。今回は、インフルエンサーさんに新商品発表会に行って、こんな新商品あって、こんなお土産もらったよという投稿をしてもらえました。

ただ、弊社のマーケターからすると、自分たちの商品をどう魅力的に伝えてくれるかという部分で期待しているところが大きいです。こちらからインフルエンサーさんにどういうコンテンツを提供するかにもよって変わってくると思うので、さらにいろいろ取り組んでいきたいと思っています。

我々の商品は発売と同時に発表会をやらないとニュース鮮度が薄れるような商品ではないので、現在あまり露出されていない商品を目立たせることもやってみたいですね。また、たまたま家庭に余ってた商品を使ってもらって投稿してくれるような仕組みをできたらいいなとは考えています。

味の素はASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)という理念を掲げて経営しています。これは「おいしく食べて健康づくり」という創業の志を受け継いだ理念です。みんなの3食がより楽しくなる、作る人も楽しくなる、みんなで作って楽しい。僕らはそれを推進することで事業が拡大していく形を目指しています。そうした面からも、今回の新商品発表会をやって良かったと考えていますし、今後もやるべきだと思っています。

知見に裏打ちされたBitStarの具体性ある提案と愛と熱意を感じた

玉置) 今回、新商品発表会を実施するにあたって弊社を選んでいただいたポイントを教えてください。

木本) コンペで数社から一定の提案をいただきました。皆さん素晴らしいご提案いただいたのですが、特にBitStarさんの素晴らしかったポイントは企画が具体的だったことです。一定の知見があってパートナーシップが組めるし、その上で、弊社がどうしたらいいかという具体性がある。さらに雨谷さん(BitStar担当)の熱意や愛が感じられたというところですね。

コンペの時はこちらから新商品の話があまりできなくて、こちらから提示した情報がファジーだったと思うんですよ。でも、それに対して、ファンベースでインフルエンサーさんと共創していく未来を描いていただいた。BitStarさんはインフルエンサーさんのことをいろいろ知っているから、アサインの仕方もいろいろアドバイスもらえましたし、実際、勉強会もできて、社内の意識も高まったというところです。

玉置) ありがたいお褒めの言葉をいただいたけど、実際にプレゼンした担当として、雨谷さんはどういうことを意識してご提案しましたか?

雨谷) 味の素さんから「イベントを実施することで味の素社全体やブランドに関するUGCを増やしたい」というお話がありました。

お話に対して、「味の素社やブランドをとにかく好きになってもらう」ことをイベントのテーマとして設定し、味の素社やブランドのファンを増やすイベントになることがUGCを増やせると定義しました。なぜそう定義づけたかと言うと、インフルエンサーさんは好きなものは自然に投稿する、という至極当たり前の原理原則があるからです。

ただ、「好き」という言葉は奥の深い言葉だと捉えていて、「商品が好き」「味が好き」だけではなく「作っている人が好き」「伝えてくれる人が好き」「体験するときの環境が好き」など色々な好きが複層的に重なって、初めて「ブランドが好き=ブランドのファンになる」と考え、好きの複層構造を生み出すイベントをご提案させていただきました。実はこの考え方はご提案するにあたり、味の素さんの商品を見たり、食べたり、調べたり、多面的に味の素さんの魅力を発掘している中で気付けば私が誰よりも味の素さんのファンになってしまっていたっていうプロセスから生まれたところもあります。(笑)

木本) 雨谷さんの愛を感じましたね。(笑)

玉置) もうずっと雨谷さんは味の素さんに心酔してましたからね。実際、上記のような案を受け入れていただき実施いただいたのですが、施策全体の評価は率直にいかがでしたか?

木本) 僕は二重丸だと思っています。発表会は成功でしたが、正直、発表会実施に至るまでいろいろなトラブルもあったし、うまくいかないこともありましたけどね。ただ、0→1を立ち上げているフェーズなので、何かしらトラブルは発生すると思っています。社内では1→2のときに0→1を思い出したら、「ああ、楽になったな」って実感できるから頑張れって言ってましたね。次、実施するときにより進化させるべきところもわかりましたし、改善しなければいけないこともわかったので収穫は大きかったです。

BitStarはパートナーであり戦友。これからはインフルエンサーと共に共創を。

玉置) 今回、インフルエンサー勉強会やインフルエンサー向け発表会を実施されましたが、今後取り組んでいきたいことなどございますでしょうか。

木本) インフルエンサーさんとの共創は、しっかりやっていきたいですね。新商品発表会の他にも何か企画してやっていきたいと思っています。インフルエンサーさんとより近い関係のコミュニティを作ったりとか、そこで商品開発、コラボ企画をしたりとか。さまざまな施策で取り組めると思っています。

玉置) 今後BitStarに期待したいことなどコメントいただけると嬉しいです。

木本) 一緒に立ち上げたパートナーであり戦友だと思っているんで、これからも引き続きお願いしたいです。インフルエンサーさんとの関係値を作っていくときに、うちのリソースだけでは限界も出てくるのかなと思っているので、その辺りもサポートしてもらって、一緒に良い関係値をつくっていきたいですね。ゆくゆくは味の素独自のアンバサダーみたいな存在を一緒に作っていけるとうれしいなと思っています。

玉置) 御社のマーケティング変革のタイミングでご一緒させていただけていること嬉しく思っています。味の素社、BitStar、インフルエンサーが三者一体で共創し、生活者にとって価値ある企画を今後ともご一緒させてください。本日はお時間いただきありがとうございました。