2023.3.15

株式会社バンダイ
戸松 淳 様

年間446本の動画を公開!メーカーならではの発信の強みを生かしたSNS戦略

おもちゃメーカーの株式会社バンダイが運営しているYouTubeの公式チャンネル内で、商品やサービス情報を発信する動画シリーズ「BANDAI MANIA!(バンマニ!)」を「BitStar Studio」が支援しています。TikTokを含めた動画制作と配信のほか、アカウントグロースのためのコンサルティング業務も担っています。

2020年6月から取り組みがスタートし、昨年はYouTube・TikTokあわせて446本の動画を制作・配信。中には110万再生を超えるヒット動画もあり、次第にファンが定着するようになりました。

今回は、「バンマニ!」を立ち上げた背景から、BitStarにご依頼いただいた経緯を含め、ご担当者様とこれまでの取り組みを振り返りました。

株式会社バンダイ 
メディア部 メディア戦略チーム 
チーフ 戸松 淳 様

株式会社BitStar 
Studio本部 コンテンツプロデュース部 コンサルティンググループ 
マネージャー 華山 直大

(以下敬称略)

テレビCMを主軸としたプロモーションから時代に合わせた施策に

――「バンマニ!」を始める前のマーケティング施策と、当時の課題をお聞かせください。

戸松)当社は主に子どもを対象としたビジネスなので、基本的にはテレビCMを中心とした施策を多く実施していました。しかし、時代の流れとともにSNSを利用する子どもが増えたことやメディア環境の変化もあり、子どもに対してもデジタルに特化したプロモーションの必要性を感じていたのです。

そこで商品プロモーションや自社メディアを強化するために、SNS広告の配信やYouTuberとのタイアップ、VTuberなど様々なコンテンツを作りました。YouTuberやクリエイターは「人」にファンが付きやすいため、単発の出演だけではチャンネルにファンを付けることは難しかったのです。また、1つの商品をとっても携わる人が多いためスケジュール調整が難しく、最適なタイミングでプロモーションを実施しづらいという課題もありました。

――クリエイターとのタイアップで成果が出た事例もあったのでしょうか?

戸松)もちろん売上にある程度貢献できたものもありました。しかし、クリエイターとのタイアップは瞬間風速的な側面が強く、継続的なプロモーション施策という観点や費用対効果を考えたときに、課題のほうが大きかったです。

――そんな中、「バンマニ!」を始められたそうですが、スタートの経緯を教えてください。

戸松)目的は自社商品のプロモーションと自社メディアチャンネルの強化でした。低予算でたくさんのコンテンツをつくれる体制を整えること、リソースを確保して商品にとって最適なタイミングで配信できることを考えた結果、「バンマニ!」をスタートすることになったのです。また、「人」にファンが付くようにMCを固定したいとも思っていました。

――そんな中、BitStarにお声かけいただいたのですね。

戸松)パートナーとなっていただく企業さんには、大きく2つのことを期待していました。一つは動画の制作から編集、チャンネル運営まで全てを任せられること。また、起用するMCは商品に関する知識があること。これらの希望に対して最適な提案をしてくださったことや、イメージが沸くように実際にパイロット版の動画をつくってくださったこともあり、最終的にBitStarさんにお願いすることにしました。

――BitStarと新しいチャレンジをするにあたって、不安などはありませんでしたか?

戸松)週5本と企業のYouTubeチャンネルとしてはかなり高い頻度の配信を目標としていたので、リソースや運用面での不安は少しありました。また、弊社の商品は版権元様から許諾を受けた商品が非常に多いため、版権元様の確認が必要となることもあります。版権元様によってもスケジュール感や監修にかかる時間、ポイントも異なるので、それに合わせた内部調整も必要です。そこは実際に取り組みが始まってからも苦労したところかもしれません。

商品の発売よりも前に商品紹介をする「最速紹介」が強みに

――実際にBitStarとの取り組みが始まってからはいかがでしたか?

戸松)始動後は、当然商品やキャラクターに関しては正式名称で呼称する必要があったり、作品によっては表現のルールなどもあるため、MCの表現や基礎知識的な部分のサポートが大変でした。最初の頃は撮影にも付き添い、長いときでは1本撮影するのに6時間以上かかったこともあります。MCの教育は、最初は難しかったですね。

――BitStar側はいかがでしょうか。

華山)提案の時からやる気に満ちあふれていましたし、準備を整えていたこともあって、始める前に不安は感じていませんでした。

ただ、いざスタートすると、テロップの出し方や表記の仕方など、先ほど戸松さんが仰ったような細かい表現のルールが予想以上にあり、最初のうちは苦戦したところもありましたね…。それでも、昨年はYouTube・TikTokあわせて446本の動画を制作・配信できました。年間でこれだけの本数の動画を配信している企業チャンネルは、ほかにはないと思いますね。

――BitStarと取り組む中で「バンマニ!」の強みをどうやって見いだしていったのでしょうか。

戸松)当社はメーカーなので、どこよりも先に商品の紹介ができたり、開発中のものが出せたりする点は大きな強みです。実際に再生数などで数値としても良い結果が表れています。そのため、最適なタイミングでいかに早く商品紹介をするかを考えながら、スケジュールや関係者との調整をするようになりました。特にYouTubeは何かしらの特徴がないと埋もれてしまうと思うので、最速紹介を一つの特徴として確立できたことは、よかったと思います。

華山)最速で商品を紹介するスタイルは、現在の「バンマニ!」でもかなり重要なポイントになっています。ただ、「バンマニ!」開始当初はバンダイさん内での「バンマニ!」の認知も弱く、いきなり発売前の商品を「バンマニ!」で紹介させて頂きたいです!と言っても難しいのが実情でした。

しかし、次第にMCの熱量が伝わったり、ファンが定着するようになったりして、お取り組みから1年が経つ頃には発売前の商品やサンプルも提供頂き、動画内で扱うことができるようになりました。さらに、その商品がヒットするなどしたことで、すごく良い循環が生まれたと思います。

戸松)版権元様から「『バンマニ!』での紹介はNGです」と言われることは一度もありませんでした。しっかりと制作をしていただいて信頼を積み重ねることができた結果だと思います。

――効果測定はどのようにされているのでしょうか?

戸松)基本的には動画の再生回数をメインのKPIとしており、再生されること=プロモーション効果が高いと考えています。例えば今年度の1動画あたりの平均再生回数は昨年度比で約1.5倍になっており、それだけプロモーション効果が高くなったと言えます。

華山)「バンマニ!」はバンダイ公式チャンネルの中で配信されている1つの動画シリーズであり、同じチャンネルの中には別の動画も配信されているため、チャンネル登録者数の推移だけを指標にすると、「バンマニ!」単体の評価が出来ない可能性があります。そのため基本的には再生回数を見ていますね。あとは、コメント数や視聴維持率も見るようにしていますね。

また、YouTubeの場合、1カ月で成果が出るものではありません。短くても3カ月、余裕があれば半年程度は1つの施策に対して向き合わないと成果が出ないこともあります。3カ月で伸びなくて施策を辞めてしまう企業も多いとは思いますが、ある程度の覚悟を持って長い目で判断することも大事かなと思います。

――Z世代以下の世代に向けたマーケティングの難しさを感じる点はありますか?

戸松)おもちゃの場合、基本的に子どもは自分で商品を購入しません。なので、欲しいと思ってくれる子どもたちにもアプローチをしつつ、購入決定者である親御さんにも、「動画を子どもに見せても安心」と思っていただけないと最終的な購入まで結びつかないのです。購入決定者と商品を欲しいと思う方が違う点に、Z世代以上の層に向けた施策とは異なる難しさがあると思います。

華山)世界的に子どもの個人データ保護に関する規制強化が進んでいて、YouTubeにおいても一定の年齢未満のユーザー情報は見れないようになっています。そのため、「バンマニ!」視聴者の年代別のグラフで20〜30代の層が最も多かったとして、子どもが20〜30代の親御さんの端末を使って動画を見てくれているのか、20代・30代のファンの方が見てくれているのかの判断が難しいです。

BitStarと共に最新のマーケティングにチャレンジし続けたい

――今後の「バンマニ!」の展望をお聞かせください。

戸松)最近は特に日々のトレンドの変化がすさまじいですよね。TikTokも以前は実施する企業が少なかったのに、今や様々な企業が積極的に利用している。我々もトレンドの波に乗って、今後もどんどん新しい施策にチャレンジしてみようかなと思います。メーカー自身が運営するからこそ「公式」と打ち出せる強みがあると思うので、その強みを生かした動画内容も考えていきたいですね。

――SNS活用で課題を感じている企業の皆さんに伝えたいメッセージはありますか。

戸松)基本的に、まずはやってみることが重要だと思います。最初は一つの施策に大きな金額を投資するよりも、低予算の施策にいろいろチャレンジするのもありだと思いますね。チャレンジをした上で、効果が見込める施策に集中投下すると良いのかもしれません。

また、実施すると決めたなら、ある程度数を打つことも必要かと思います。我々も週5本投稿をしているからこそ、社内外での認知を獲得できたと思いますし、自分たちの強みを早く確立できたと感じています。

――最後にBitStarに対して、評価いただいているポイントや今後の期待があればお聞かせください。

戸松)BitStarさんは非常に安定感があると思っています。提案時から運用フェーズに入った後まで、安心して任せることができています。おかげさまで大きなトラブル等もなく運用できているので、安心感や安定感が一番ですね。

BitStarさんは時代の最先端を走る、インフルエンサーマーケティングの会社だと思うので、今後も最新の情報を踏まえた新しいご提案を期待しています。

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