2023.5.11

ヤフー株式会社
栗原 洋 様

動画と記事を毎日配信。コンテンツを経由して”行動につなげる”ためのメディア戦略

日本最大級のスポーツ総合サイト「スポーツナビ(スポナビ)」内で展開されている「スポナビGolf」。2019年11月末にローンチして以来、ゴルフクラブやレッスンを紹介する動画や記事を毎日更新。並行して運用するYouTubeチャンネルは登録者数10万人に到達いたしました。

現在、「スポナビGolf」のコンテンツ制作からYouTubeチャンネル運用までを「BitStar Studio」が支援しています。

今回は「スポナビGolf」を立ち上げた背景から、「BitStar Studio」にご依頼いただいた経緯、これまでの取り組みと成果について、ご担当者様と振り返りました。

ヤフー株式会社 
メディア統括本部スポーツ本部 シニアプロデューサー
栗原 洋 様

株式会社BitStar
Studio本部 コンテンツプロデュース部 プロデューサー
古屋 宏和

(以下敬称略)

“行動につながるメディア”を目指して立ち上げた「スポナビGolf」

――スポーツナビの事業内容を簡単にお聞かせください。

栗原)Yahoo! JAPANのスポーツサービス部門のサービス名称が「スポーツナビ」です。ちなみに、スポーツナビ自体は分社化しているので、会社名でもあります。

「スポーツナビ」のメインはスポーツの報道です。野球、サッカー、ゴルフをはじめとした20以上のスポーツカテゴリーごとに、ニュース、試合速報、ライブ映像、コラム、注目イベントなどの情報をお届けしています。

皆さんに一番知られているのは、おそらく「スポナビ野球速報アプリ」というサービスだと思います。野球好きの方ならほぼ皆さん知っていると言っても過言ではないぐらい認知度が高く、スタジアムへ行くとスマホでアプリを見ながら観戦されている方も多いですね。

――スポーツのカテゴリーだけで20以上もあるんですね。

栗原)野球やサッカーだけでなく、フィギュアや卓球、バスケなど、以前はそこまでメジャーではなかった競技もファン人口が増えてきていて、それに対応するようにカテゴリーはどんどん増えています。

東京五輪ではスケートボードやスポーツクライミングの新競技が話題になりましたが、2024年に開催されるパリ五輪でもダンスやパルクールといった競技が追加される予定です。今後はそういった新しいカテゴリーも増える可能性はあると思います。

――もともとスポーツの報道がメインだったところから、それ以外の切り口のコンテンツも配信するようになったのには、どんな背景があったのでしょうか。

栗原)背景としては大きく2つあります。まず1つ目は、数年前からYahoo! JAPANのメディアサービスが「ユーザーの課題を解決し、行動につながるメディア」を目指していこうという考えのもと運営していることが挙げられます。

例えば、お客様が週末の天気を「Yahoo!天気」で見て、「天気がいいから週末どこか行きたいな?」と考えます。そこに関連して「Yahoo!ニュース」で自分が住んでいる地域のイベント情報が流れてきて実際の行動につながる。これがスポーツ文脈であれば、「スポーツナビ」でスポーツイベントの情報を閲覧してもらい、それをきっかけに「観戦に行こう!」と行動してもらうようなイメージです。そして、現地で「PayPay」で支払ってもらうところまでつなげられれば、同じグループの中で経済的にも還元できますし、お客様に対しての提供価値も最大化できると考えています。

もう1つは、「スポーツナビ」のミッションと関係しています。「スポーツナビ」では、「情報技術で豊かなスポーツライフを実現する」というミッションを掲げているのですが、その中でスポーツを3つにセグメント化して捉えています。

1.「もっとスポーツを見て感動してもらいたい」

2.「もっとスタジアムでスポーツ観戦をしてもらいたい」

3.「もっとスポーツをDoしてもらいたい」

「スポナビGolf」は3つ目にあたる、Doスポーツ領域の事業の1つとして取り組んでいます。先に述べた通り、メディアをきっかけに次のアクションにつなげて、価値を最大化させたいという考えでコンテンツを作っています。

パートナーに求めた条件は「動画と記事の両方を毎日配信し、高速でPDCAを回せること」

――現在、BitStarは「スポナビGolf」を支援させていただいていますが、そもそも弊社が支援するに至った経緯を教えていただけますでしょうか。

栗原)「スポナビGolf」以前に、「スポーツナビ」では2016年に女性向け動画メディア「Spolay(スポレー)」をローンチしました。その際に、パートナー企業として参画頂いたのがViibar社(※)でした。Spolayは日頃スポーツにさほど関心がない女性をターゲットにして、Instagramを中心に、Facebook、Twitter、YouTubeでフィットネス動画を展開しました。ちょうどその頃、Instagramが若い女性の間で使われ始め、4G回線が普及してスマホで動画が見られるようになったこともあり、多くの人に視聴していただきました。

(※)BitStarは2022年4月に動画事業を展開していた株式会社Viibarからコンテンツプロデュース事業を譲り受け「BitStar Studio」を強化しています。

その後、2019年の11月に「スポナビGolf」を立ち上げることになるのですが、その際に改めてパートナー企業を探しました。もちろんViibar社も候補の一社だったのですが、ゴルフという新しいジャンルということもあり、地上波やBSなどでゴルフ番組の制作実績のある会社など複数社にお話を聞きました。ただ、いろいろと比較検討した結果、やっぱりViibar社にお願いしようとなりました。

「スポナビGolf」では、YouTubeチャンネルを立ち上げて運用したいのと同時に、テキスト記事も作りたいと考えていました。Yahoo! JAPANに動画だけでなく記事も配信することで、流通効果を最大化したかったからです。そのため、動画と記事をセットで作れることが必須条件でした。もちろん、動画と記事の制作をそれぞれ違う会社にお願いすることもできます。ただコミュニケーション観点や予算の観点でも負担が増えるため、できれば両方セットで対応してくれるパートナーがベストでした。その上で、YouTubeで毎日動画を配信して、PDCAをスピーディーに回して運用してもらえるかどうかが重要なポイントでした。

こうして条件を並べたときに、テレビの制作会社はゴルフ番組の制作実績も豊富で、当然ゴルフの知識も十分であったものの、我々が求めるスピード感での制作・運用は難しいだろうと感じたのです。一方で、Viibar社はゴルフの知識はないけれど、動画と記事をセットで作れてPDCAを高速で回せるのはSpolayで立証済みでした。では、足りないゴルフの知識をどう埋めるか。そこは知識を持った専門家に出演していただくことでコンテンツのクオリティを担保し、知識不足を補う形にすればコンテンツとして成立するんじゃないかと考え、最終的にViibar社に依頼することに決めました。これはBitStar社に事業譲渡されてからも変わらないですね。

古屋)コンテンツ制作や運用のPDCAを高速で回せるのは、弊社の強みだと自負しています。

栗原)それがすごく大きいですね。あとは、動画と記事の両輪というところ。記事がメインでちょっとした動画は撮れる、あるいは動画メインで記事も多少作れますよという会社はあるのですが、どちらも両輪で高いクオリティで作れるのが大きいです。

――「スポナビGolf」においてBitStarが支援している内容を教えてください。

古屋)「スポナビGolf」では、見た人が行動を起こすコンテンツを目指して作っています。そのため、動画や記事を見ていただいて「使ってみたい」と思えるようなゴルフ用品をメインに取り扱っています。「この記事で紹介されているグッズを自分も使ってみたい」と思っていただいたうえで、そのゴルフ用品を「Yahoo!ショッピング」で購入いただければ我々としても嬉しいので、リンクを踏めば商品ページにすぐに飛べるような導線を設計しています。

YouTubeでは見ている方にとって実践で役立つような動画の投稿を目指しています。特にYouTubeではプロゴルファーによるレッスン企画に注力しています。毎日投稿しているので、月間約30本の動画を制作している計算になりますね。

――毎日コンテンツを更新しながらトライ&エラーをしていくにあたって、難しかったことがありましたら教えてください。

栗原)毎日コンテンツを配信するには、それができるように逆算して作るしかない。そのためには、ある程度の短尺かつ合理的なフォーマットを作って回していくことを意識して相談しながら作っていました。

古屋)現在、1回の撮影でMAX15本分の撮影をして、できるだけ多くのストックを用意することを意識しています。ただ、私は「スポナビGolf」のプロジェクトに途中から参画しているので、最初は撮影手法に驚きました(笑)。3年間通じて、演者との関係性を築きつつ、さまざまなトライ&エラーを繰り返して制作や運用の最適化を図っていった結果だと思います。

栗原)特にYouTubeではレッスンコンテンツのニーズが高いんですよね。ここ半年ぐらいは現役のトッププロゴルファーの方にも数多く出演いただいて、実際の練習方法を紹介していただく動画が非常に人気です。今後もっと多くのプロゴルファーにもご出演いただきたいですね。

ゴルフレッスンとYouTubeは相性が良いと思います。もちろん毎年新しいスイング理論が出てくるのですが、基本動作やルールはそこまで大きく変わらないため、コンテンツとしてのアーカイブ性が高い。そういった意味でも、何年経ても楽しんでいただけるものになっていると思います。

それに、ゴルフクラブを紹介する動画も実は消費期限が長いのです。1〜2年前に発売されたクラブでも大幅にはスペックが変わらないため、ニーズがあり、実店舗やネット上でも数多く販売されています。実際に、「スポナビGolf」でも1〜2年前に公開したゴルフクラブの動画がいまだに再生されています。そのため、新製品だけでなくあえて旧製品を取り上げたコンテンツも制作しています。

――BitStarの支援によって、具体的にどういった成果が得られているでしょうか。

栗原)2019年11月末にローンチして以来、「スポナビGolf」経由でYahoo!ショッピングやヤフオク!で購入いただくユーザーが右肩上がりで増えています。また2021年10月に本格的に力を入れ始めたYouTubeチャンネルも登録者数が順調に伸びており、直近で10万人に到達しました。

コロナ禍でも楽しめるスポーツとして、ゴルフが注目されたことも追い風になりました。

――YouTubeチャンネルの視聴者数はどのくらいでしょうか。

古屋)直近28日間のユニーク視聴者数は100万人を超え、約560万人の日本のゴルフ人口においては6人に1人が見ている計算になります。(※)

(※)公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2022」より

ゴルフに限らず、一緒にスポーツ界を盛り上げるパートナーになってほしい

――最近は、ゴルフ業界で「スポナビGolf」の認知が高まってきたそうですね。

栗原)これまでは、こちらからメーカーに問い合わせて新作クラブの発売情報をいただいていたのですが、最近ではメーカー側から「スポナビGolfでご紹介いただきたい」とご連絡いただくことも増えました。

最初の頃は「『スポナビ』? ゴルフメディアなんてやっていましたっけ?」とか「あの野球アプリやっているとこでしょ?」という反応が多かったのですが、ここ最近はゴルフ業界の方にお会いすると「知っていますよ」とか「あの企画良かったですね」という声をかけていただけるようになってきましたね。

――今後の「スポナビGolf」の方針についてもお聞かせください。

栗原)基本的にこれまで同様、「スポナビGolf」をきっかけにゴルフギアを購入していただくユーザーを増やすことと、YouTubeのチャンネル登録数を伸ばすという方針は変わりません。チャンネル登録者数は10万がひと区切りだと思っていますが、ゴルフチャンネルの中には80万を超えているものもあるので、もっと先を目指していろいろなことにトライしていきたいですね。

加えて、ライブコマースのような新しいチャレンジもしてみたいです。日本ではまだそれほど浸透していないのですが、我々の取り組みとの相性が良いと思っています。「スポナビGolf」のファンもどんどん増えていますので、ユーザーが直接参加できるような取り組みもやってみたいですね。

――BitStarの支援について評価いただいているポイントや今後の期待についてお聞かせください。

栗原)「スポナビGolf」をグロースさせていくためには、BitStar社は欠かせないパートナーだと思っています。個人的にはほかにも社外のパートナーとお仕事させていただく機会がありますが、BitStar社のように企画意図からKPIの背景まできっちりと汲みとりつつPDCAを高速で回してアウトプットしてくれるパートナーはなかなかいません。そのうえで主体的にさまざまなご提案も頂けるので、ものすごくありがたい存在です。

今後、他の新しい取り組みをお願いすることもあるかもしれません。ぜひ一緒にスポーツ界を盛り上げていければいいなと思っております。

SHARE

BitStar Studioまでお気軽に
ご連絡ください!